どもどもぺーやんです。今回は”富士山五合目からの登山を、初心者でも簡単に成功させたストーリー#5”です。
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前回の”富士山五合目からの登山を、初心者でも簡単に成功させたストーリー#4”はこちらをクリック
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七合目付近の休憩所で、地平線の向こうに太陽が沈んでいき、「今日も1日が終わる」
そんな心情で、俺たち以外の七合目付近の宿にご宿泊の登山者の皆様は、ちょっとした”達成感”と”生きる”を感じながら見ていただろう。
そう、俺たち以外は………
7月7日の最終目的地である八合目付近の宿への到着予定時間18:00を過ぎ、七合目付近の休憩所の時点で19:00になろうとしていた。
そう、「俺たちの今日はまだ終わっちゃいない」
太陽が沈むと、一気に辺りが闇に包まれ始め、登山開始前の4人の熱い情熱は、富士山の冷たくなっていく気温とともに、どんどん引き下げられていく。
登山ルートを地図で確認しながら、「うわぁ〜八合目まではまだまだなんじゃない?」などなど、メンバーからは不安の声が聞こえ、じゅんちゃんとハマちゃんに限っては、疲労蓄積のメーターがピークを振り切ろうとしていた。
まさかまさかの視界不良での登山に、俺は「これ、マジでやばくないか……」と、暗黒に覆われていく富士山を見ながら、その恐怖心に飲まれていく。
そこにさらに拍車をかけるように、先ほどまではチラホラいた一般の登山者やツアーガイドさんたちが……
見渡せど誰もいない………
そうです……19:00を過ぎての登山中の登山者の数、事実上”4名”。
しかも、ほぼ登山初心者。
不安にならない訳がない。恐怖が襲ってこないわけない。
そしてメンバーそれぞれが、恐怖の闇で不安に包まれた心に明かりを灯すように、真っ暗な闇を簡易的なヘッドライトで照らし始める。
日が出ている時はそれほど気にならなかったが、足元は砂利と岩……そして登山コース向かいまして、右側方向はほぼノーガードの断崖絶壁…‥落ちればそれなりのリスクが待ち受けるという状況での………この闇。
「怖いな……これは、マジでガチやな……」と、半ば登山なんてどうでもよくなってきていた。
「まぁでも、まさか死ぬことはないだろう」という軽い気持ちになりけかた時、闇夜の登山の緊迫感からか「いやいや、そんな軽はずみな気持ちが死を招くかもしれない……?!」という”死ぬかもしれない”という思想にスイッチが入ってしまった。
そうなると「富士登山なんて来なきゃよかった」「ここで俺は死ぬのか」「家族に電話したくても、圏外。海外映画などで生死の境目を分けるシーンで、よく使われる”家族への愛のメッセージ”も言えないんかい…」という負のスパイラルに陥る。
そして、そんな負のスパイラルに墜ちること数十分。
やはり人間だ。感情が墜ちるとこまで堕ちたら、あとは登るだけ(笑)
そうなると「死ぬわけにはいかないから、死なないようにめちゃめちゃ注意していかなきゃならない!家族が3人いるし、俺は生きて帰らなきゃならない!そうだそうだ、俺にはまだやりたいことだってあるし、嫁にも子供にも”行ってきますのキス”もしてない!しかも男だ、目の前の女子、同僚を死なせるわけにはいかない!」という少々パニック気味?!だし、それでいてアクション映画顔負けの正義感?!、それと自分中心で世界が回っている感?!、そんな感情に塗りつぶされ、
俺のハートに火がついた。
上を見上げれば、富士山頂は雲に隠れたまま。
なんだか、火曜サスペンス劇場にでも出てきそうな事件現場を匂わす、夜の富士山。
俺はメンバーの後方に位置を取り、「右側は崖やけん、左側ば行かんね!」と声をかけながら、血糖値の事を考えキャラメルを人数分手に取り配って回り、「アリちゃんはいるー?ハマちゃんはいるー?」と、闇で見えなくなっている先頭を行くメンバーの安否を確認したり、二三歩歩いただけで息が上がってしまっているじゅんちゃんハマちゃんに「もうすぐ、もうすぐよ!」「大丈夫?いけるいける!」とスポ根ばりの激励の声をかけ、足場が悪いところは、数メートル先に上がり、登ってくるメンバーの足元をライトで照らし、岩を登る時にメンバーの手をひっぱり上げる……などなど、ツアーガイドさながらに精力的に頑張った(笑)?ような頑張ってないような…自分なりに頑張ったとだけ言っておく(笑)。
登山前の体力作りの効果?なのか、とりわけ俺は元気だったしね。
それと、アリちゃんも意外と元気だった事が救いだったな。
でも、上に登れば登るほど、体力は消耗していくし、低酸素になり呼吸も辛くなる。
じゅんちゃんとハマちゃんは、笑顔をチラつかせながら「きつかねー。」と溢す。ここで自分がリタイヤしたら、他のメンバーに迷惑がかかるという状況下を把握した上で、弱音はあまり見せなかったんだと思う。
しかも、この悪状況で下山という選択肢もないしね(汗)。
登るのも危険だった箇所を、逆に下っていく気持ちや体力は…もう誰も持ち合わせていなかった。
なので、みんな見た目よりもヤバイ状態だったんじゃないかなぁと思う。
気づけば、心のコンパスと簡易的なヘッドライトの明かりしか、道を指し照らすものはない。
辺りは…真っ暗闇。
八合目付近に到着したのは20:30過ぎ。
しかし、八合目付近の上下に宿はいくつも点在しており、俺たちの目的地である”富士山ホテル”という宿は、あろうことか八合目の一番上の手前に位置していた…‥(汗)。
それならもう少しじゃん!と思うなかれ、八合目付近のその上下の格差たるや、直線距離にすれば数百メートルだが、それを登る時間に換算すれば30分〜1時間30分くらいにもなる。
なので、「ここが今日宿泊する富士山ホテルだろう!」と4人とも最後の一絞りの頑張りを出しきって到着した宿が違い、さらに上の宿になるという状況が2回ほど続いた。
俺はまだ元気だったが、特にじゅんちゃんとハマちゃんは、高山病とか体の疲れとかいう問題ではなく、もう精神力さえ残ってなかったと思う。
そして、そこからさらにどうにこうにか一歩一歩踏ん張り、頑張って頑張って到着した宿で「富士山ホテルなら、ここからまだ1時間くらいやろ。がんばって下さいね。」と別の宿のスタッフから言われた時は、さすがにメンバーの顔は見れなかった…。
俺とアリちゃんはいいから「もう、じゅんちゃんとハマちゃんを休ませてあげたい」ただ…それだけだった。
しかし、休憩すればするほど、到着時間が伸びていく。それでいて、体力は一向に回復しない。
じゅんちゃんとハマちゃんに、声をかける言葉は、もうなかった。
だって、「頑張って!」……という前に、もう頑張ってるんだから。
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メンバーは、ただ黙々と歩み続け、ヘッドライトの明かりだけを頼りに安否を確かめ合う。
そして、次第にみんなの足は止まり…体は冷え…目が空ろになり…朦朧とした意識の中で、人生という走馬灯を自分たちで振り返りながら…これでよかったんだ…後悔しても、もう遅い…誰のせいでもない…すべて自分で選んできた人生だ…後悔するなんて事があっちゃいけない……
そして、みんなは…その場に倒れた…
って、いやいや、うそうそ。書きながら変な流れになっただけです。事実無根です(笑)。
俺は元気やったし(笑)。
そうこうしているうちに、ようやく無事に”富士山ホテル”に到着。
到着時間 21:50。
メンバー全員が安堵の表情を浮かべた。
そして、満身創痍の中、待ちに待った宿の夕食に……俺は絶句……
というか、怒りさえ覚えた(笑)
インスタントご飯にインスタントカレー……しかもかなりの外道価格(汗)。
轟々と燃えたぎる釜戸の上に、大きな鍋をドカーンと座らせ、大胆に切り分けられた新鮮な野菜や生きた生肉を放り込み、そこにブレンドした特製カレーをぶっ込んで、グツグツ煮だたせながら、大きな大きなおたまで豪快にかき回し、大皿の上に熱々のご飯をドッカーンと乗せ、そこにカレーをご飯が見えなくなるまで注ぎ込む…そしてそれを腹が減りすぎて怒り狂っている胃袋の中へ流し込む……
そして一言「いや〜実に美味い!」
そんな食事を想像していたのは俺だけだろうか…(笑)。
そんな想像とは全く違う、正反対な食事に…登山の疲れが波のように一気に俺の体に押し寄せ…消沈……
俺は心の中で「神様…、嫁さんの財布から数年前に1000円盗んだ事を、まだ怒ってらっしゃるのですか?」
それと「神様…、娘の大好きなアイスを最後の一個と知っておきながら食べてしまい、娘がアイス!アイス!とアイスをねだった時に、嫁さんのせいにした事を、まだ怒ってらっしゃるのですか?」
それとそれと「神様…、嫁には自分のヘソクリで一括払いで買ったと言った高額なパソコンを、実は家の貯金から分割払いで払っていた事実を、まだ怒ってらっしゃるのですか?」…って、もうこれ以上はヤめよう(笑)。
神様、仏様、嫁様…本当にごめんなさい。
まぁとりあえず、人件費やら配送手段やら大変なんだろうね。それはここのホテルだけじゃないだろうし、どこのホテルや宿もそうだろうし、色々な面を考えて、こういう食事になっているんだとろう、外道価格にするしかない事情があるんだろう、というのは理解できるので、仕方ないか……(笑)
まぁ、それなりに満腹になったところで、今日の寝床……
寝袋雑魚寝…まぁこれも仕方ないね。
っと、寝袋に手が触れた瞬間…ジメジメしっとりべっとり感が俺の全身に鳥肌を全速力で走らせた…(汗)
息を呑むほど、寝床としては絶望的な”湿気”……
こ…これは…気持ち悪い……ここでは寝れない…
潔癖性の俺には無理だこんなところ………と心で泣いていた………
でも、ここで寝るしかない……(泣)
これは俺にとって…登山より過酷な状況でもあった。
あまりのストレスで「これマジで俺寝れんよー!どげんしよう(泣)!」とついつい声を荒らげてしまったその瞬間……
「Please be quiet!」と、隣で休んでた外人さんから注意された。
俺って、非常識………だけどさ〜(泣)。
嘆いていても仕方ないので、これも試練だ!と覚悟を決めた。
でも、寝るしかないけど、その絶望的な湿気が渦巻く寝袋にはもちろん入らないという選択をし、素肌が寝袋に触れるのを避け、両手は胸の上でしっかり組み、その寝袋の上に靴下さえも脱がずに、そ〜っとそ〜っと仰向けに横になった(笑)。
はぁ…A型ってやだ。って、俺が神経質なだけか(笑)?
そして、ふと俺の隣を見ると、そのジメジメしっとりべっとりした絶望的な湿気が渦巻く寝袋の中に、ガッツリ入ってハマちゃんが普通に寝ていた……
「ウソやん……?!」と心の中の悲鳴と驚きを隠しながら、周りをグルッと見渡してみると……宿泊客はみんなそうしてた(笑)。
……人間って不思議だ。
富士山五合目からの登山を、初心者でも成功させたストーリー#6続く。
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