どもどもぺーやんです。今回は”富士山五合目からの登山を、初心者でも簡単に成功させたストーリー#6”です。
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前回の”富士山五合目からの登山を、初心者でも簡単に成功させたストーリー#5”はこちらをクリック
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ジメジメしっとりべっとり絶望的な湿気が渦巻く寝袋に仰向けに寝転がって、一体何分…何十分……何時間が過ぎただろう……
登山の疲れもあって体は想像以上に休みたがっていただろうけど、この寝床の環境に慣れる事ができず…気持ち悪くて眠れない…‥(泣)。
隣のじゅんちゃんアリちゃんハマちゃんは…「……寝てるやん」
女性には失礼だけど、結構な寝息?を立てながら…「……寝てるやん」
特にじゅんちゃんには失礼極まりないけど…「………ちょっと耳障りやん」
宿泊している富士山ホテルは、まだ八合目付近なので、富士山の頂上まではあと約2時間ほどかかるらしい。
ご来光を頂上で拝むというスケジュールを組んでいるので、7月8日PM9:50に宿に到着し、7月9日AM1:30には富士頂上へ向けて宿を出発し、登山を開始しなければならない。
3時間しかないのに…それなのに眠れない…
目を閉じては、目を開けるの繰り返し……
マジでやばい…暖かい毛布とベッドなら気持よく休めるのに…
今まで俺は、なんて恵まれていたんだろう(泣)。
俺にとっては、すんごく過酷な状況だ…(汗)。
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そうこうしているうちに、頭がボーっとして意識が覚醒から睡眠へと切り替わろうとしていた時に、宿のスタッフがご来光を頂上で拝む方々を親切にも起こしに来た……
出発の時間になった………
マジでそりゃないよ……
しかし、この出発時間に遅れが出ると、頂上でのご来光はアウト。
来たからには、起きて行くしかない。
それ以外の選択肢は、皆無。
「あぁ…疲れというより、睡眠不足で具合悪いなぁ…‥」
なんせ、ほとんどと言っていいほど寝てないんだからね。
つまり、長崎を出発してから…まとまった睡眠を取らないまま2日経過しているという状況……考えただけで疲れが倍増するな。
「でも、行かなくちゃ!」
さぁ気を取り直して、出発だぁ!と気持ちを切り替えていたら、ハマちゃんの表情が冴えない。
ハマちゃん「……もう登れない。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(汗)。
一同「……ぇぇぇええええっ?!」
よくよく話を聞くと、やはり軽い高山病らしい。
俺たちの知らない間に、頭痛や吐き気などによる体調不良で何度もトイレに駆け込んでいたらしく、すごく辛そうだ。
俺はずっと寝れずに起きてたんだけど……ハマちゃんがそんな状況だったとは気づかなかった……
でも、すごく具合が悪そうだし、これは登山続行無理な様子だ。
という事は、頂上を目前に下山……?!
という選択肢が、メンバーの頭の中を過った。
しかし、その選択肢を振り払うように「私はここで休んどくけん。みんな頂上まで行って、下山の時に迎えに来て!」とハマちゃんがすぐにピンチをチャンスに変えてくれた。
「ハマちゃんの分まで頑張ろう!必ず迎えに来るからね!」と少々メロドラマ風な雰囲気に包まれながら、ハマちゃんを見捨てて…いやいや…置いて……いやいや…待っててもらう事にして、俺とじゅんちゃんとアリちゃんの3人で、富士頂上を目指すために宿を出発。
でも、俺もやっぱり寝てないせいだろうか……ベストコンディションには程遠く、万全ではない。
少しでも睡眠が取れていたらなぁ……と1人悔やんでいたら、
じゅんちゃん「はっ?寝てたやろ!めっちゃイビキすごかったんだけど(笑)。」
俺「………?!」
俺「……なっ?」
俺「……………えっ?」
俺「………………………俺っ??」
俺「……自分では一睡もした覚えないんだけど?」
じゅんちゃん「いやいや、グゥグゥグゥグゥ寝てたよ(笑)。」
俺 「………Σ(゚Д゚;」
俺「……俺ってば……寝てたの…?!」
本当にマジでガチに、寝てないと思っていたのに、実際は寝ていた?!
しかも、イビキかいて…?!
ぉぉおお…………疲れとは怖い。
寝たことすら記憶にないほど、疲れているんだな俺。
32年間生きてきて、”寝てないのに、寝てた”という感覚は、初体験だった(笑)。
「でもでもでも、俺は寝てたんや!」と思うと、少し気が楽になってきたぞ〜(笑)。
”頂上でご来光”という予定は、富士登山の暗黙の基本。
世界遺産登録という注目度も重なり、平日というのに、結構な登山者の方々がアリのように群れをなし、頂上を目指す。
ヘッドライトの具合で、若干ホタルのようにも見えるが………非日常的な光景は、かなり常軌を逸したものだった。
辛うじて二列までは通れる道幅の影響で、追い越す追い抜くという事はもはやできない。
ただ…ただ…おじさんおばさん(大多数)のお尻を追うという視界に、俺は少々興奮した……いやいや…戸惑った(笑)。
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そんな状況下で頂上を目指している中、キレイな外人女性から、いきなり俺は声をかけられた。
外人 「Excuse me ☓◯☓△///////…..]]]:::::.@@[[:]._/.[/ ?」
俺 「……えっ?」
何を話しているか、さっぱり。
俺の中学生以下の英会話スキルでは、理解不能……(笑)。
俺は、助けを求めるようにじゅんちゃんとアリちゃんの二人を見つめたが……
二人とも「??」という予想通りの結果だった。
「…だろうね。」と早々にじゅんちゃんとアリちゃんに早々に見切りをつけ、その外人さんをもう一度確認。
俺をナンパしているようにはどうも見えない(笑)。
名優ロバート・デ・ニーロの「WHY?」のポーズさながらに俺が困った様子を見せると、その外人女性もすごく困った様子で登山スティックを俺に差し出し、何か言っている。
普通の一般ピーポーの方々なら、「ソーリー」「ノー」「アイドンスピークイングリッシュ」「アナタノコトバワカラナイ」「ワタシエイゴワカラナイ」という簡単な英語を使って避けるところだが……
世界中の困っている人を見捨てることのできない正義感溢れる俺は、どうにか理解しようと努めた(笑)。
そして、俺の集中力は研ぎ澄まされ……数秒後に覚醒した。
外人女性の言葉の中に「Broken」という単語がある事に俺は気づいた。
Brokenって事は…壊れたって事だから…スティックを差し出して〜Brokenだから……
「スティックが壊れた」って事か!!
‥と、単純翻訳(笑)
俺はすぐに外人女性のスティックを取り、女性を扱うように丁寧にそのスティックを触って確かめた。
すると、スティックの長さを調節するつまみ部分が弱くなっているようだったので、スティックの高さを調整し、つまみを締め直し、満面の笑みで「What?」と言いながらスティックを外人女性に返した。
すると、その外人女性はスティックを地面につけ、その高さの具合を確かめ、「No」と俺に突き返す……
俺は「はっ?えっ?違うの?」という戸惑いの表情を隠しながら、またスティックを受取り、再度調整…
しかし、先ほどの調節つまみを力いっぱい締め過ぎたのか……手袋をしているせいもあってか…調節つまみが緩まない……
富士頂上付近の気温は、0℃近くでめっちゃ寒い…息は白く…完全防寒…手袋なんて外せない……(泣)
でも、素手じゃないと調節つまみを緩めさせられないので……手袋を外さなきゃと…‥渋々手袋を外して、「あぁ…‥手が凍る……」という可哀想な自分を良心という暖かい場所にうずくまらせながら、極寒の中、素手で調節つまみを緩ませ…高さを調節して、また調節つまみを締めて……外人女性に渡した。
ていうかさぁ………”何で俺がここまでしなきゃならないの?
俺以外にYouと同じ国籍を持つ人が他にいる確率は高いはずだぞ!
そもそもこんなチャイニーズ風のチビすけの俺を何故チョイスした?
背丈もあって、立派な体格を持って、頼りになりそうな人は他にいただろ?
あっ、そうかそうか、俺を舐めてやがるんだな!
俺がチビだから、俺を下に見たんだな!
てか、自分で手袋を外して、自分でできただろう?
なんで、わざわざ他人にさせんだよ?
どこの姫様のつもりなんだよ!
ファ◯クユーレイデー(笑)!
という半ばキレ気味の状態で…俺は、ハグかほっぺにキスでもしてくれるんじゃないかー?とちょっとした期待も胸に抱きつつ、その外人女性の反応を待つ……
すると「OK. yeah.」と言い、軽く手を振り去っていった………
「はっ??サンキューベリーマッチは?ハグは?ほっぺにチューは?日本なら、手と手を合わせて、お辞儀をしながら”ありがとうございました。助かりました。今度お食事でも。”と連絡先を渡すのが礼儀だし、筋だろー!」と、登山の疲れや状況による極限状態の心の中心で、”欲”を叫んだ(笑)。
この間、約5分。
俺はやれることはやったんだ(泣)。
そして俺は、これから、礼なんて、見返りなんて、最初からいらない…そう思って生きていこうと悟ったのだった。
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そして、黙々と富士山頂を目指す。
登山者が列になって登っているので、なかなかスムーズに進めない。
すでに2時間が経過し、辺りは徐々に明るくなり、ご来光の時間が迫ってきていた。
しかし、頂上まではもう少し時間がかかりそうで、頂上でご来光を拝むという目的は、限りになくゼロに近い状況になってきた………
このままでは、登りながらご来光を拝むという事になってしまい、ご来光を堪能できないし、写真も腰を据えて撮影できない。
そこで……俺は決断した。
頂上まで数十分のところで、登山コースから数メートル逸れて、ご来光をゆっくり拝むために腰を据える事にした。
アリちゃんも一緒だ。
じゅんちゃんはと言うと、数十メートル後方をボチボチ登ってきていたような気がする。見えなかったから(笑)。
腰を据え、ご来光を待つ間、その横を通り過ぎて行く登山者の方々を人間ウォッチングして暇つぶし(笑)。
まず目に飛び込んできたのは外国の登山者の方々。
この寒さの中、Tシャツ一枚で登る…自称天才ハッカー?、ハーフパンツで登る…‥自称スポーツ界の逸材?、キャミソールの上から薄手の透明なレインコートを羽織っただけの…‥自称モデル志望の卵?、ビーチサンダルの…‥自称アウトドアスペシャリスト?、すごい方々ばかりだ。
ある意味ね。あくまでも、ある意味(笑)。
一般ピーポーからしたら、ただのア◯だけど、この俺の広い広い海より広い心から見た場合、すごくすごく羨ましい行動力と発想力と、”冒険心”と”探究心”が見えるんだな(笑)。なんて。
次に驚いたのが、5歳?くらいの男の子がお父さんと二人で登っていた事だ。
カワイイ黄色のレインコートに小さな体は全身覆われて、体全体を隠すほど大きな青いリュックを背負い、お父さんの手を両手でしっかりと握り、自分の体よりも大きな岩を小さな足で踏みつけて…踏みしめて…、「キツいキツい」「まだ?まだ?」「帰りたいよ!帰りたい!」と言って…何度も…何度も泣いたであろう涙の後を残したまま、それでも後ろは振り返らず、お父さんの表情と富士山頂を交互に確かめながら、一生懸命に登っていた。
なんてヒドイ事をさせる親だ!という感情を持つ一方で、人生の教えというものを学ぶには最高のシチュエーションなわけだから、”何かあったらどうすんだ?”というフリスク?…いや…リスクを背負ってでも、我が子と登る決断をした親の気持ちは、尊重と尊敬に値する。
「頑張れ父ちゃん、頑張れ息子よ!」と心の中で応援しながら、「まだ寝てる時間かな…」と我が子の事をふと思い出した。
家族のために、無事に帰らなきゃな。
富士山五合目からの登山を、初心者でも成功させたストーリー#7へ続く。
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